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呆れたように肩をすくめて、少年は言った。
ちらりと横顔を見上げると、こめかみに汗が流れるのが見えた。
「ねえ、そういえば君、学校は?」
唐突に気になって、あたしは少年の横顔に問いかけた。
何を隠そう、今日は九月一日。
全国のほとんどの学校で始業式が行われている真っ最中である。
問われた少年は一瞬ビクっと肩を震わせ、しばらくの沈黙の末に、「サボり」と、ぼそっと言った。
「おや。駄目だよー。学校はまじめに行かないと」
「そう言うあんたはどうなんだよ」
「ん、お察しの通りサボりでござる」
あっさり白状すると、少年は吹き出した。
まだ幼さの残る顔立ちは、笑うと途端に子どもっぽくなる。
「人のこと言えねぇじゃん」
「うるさいなあ。あたしはいいんだよ、優等生だからね」
「へえ。サボりのくせに勉強できんの?」
「実を言うと、かなりね」
「自分で言うか」
「君に余計な謙遜をしてみせたところで得はないだろうからねぇ」
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