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あたしはしばらく動かない背中を見つめていたが、あまりにも動かないので本物かどうか心配になって、
「おーい」
と、呼びかけた。
反応はない。
けれど、張り紙を見つめていた少年がほんのすこしだけうつむいたから、とりあえず生身の人間であることはわかった。
もしかして、甘いものが食べたいのだろうか。
けれどお小遣いが少なくて迷っている、とか。
きっとそうだ、と勝手に決め付けて、あたしはふと、さっき通りかかった駄菓子屋ののぼり旗を思い出した。
「ねえ、君」
声をかけながら、推定腹ペコ野球少年に近づく。
少年は振り返らない。
「ねえ!」
さっきよりも大きな声で呼んで、少年の顔を横から覗き込むと、少年は「おわぁっ!」と奇声を上げてのけぞった。
「さっきから呼んでるんだから、返事しろ!」
「は? 俺?」
「そう!」
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