10人が本棚に入れています
本棚に追加
/140ページ
敦子は愛子のことを思い出して涙ぐんでいた。
「…もっとおばあちゃんに優しくしてあげたらよかったね」
「そうね…せめて毎日おばあちゃんにお線香あげて、手を合わせていれば、きっと許してくれるわよ」そう言って、明子は敦子に寄り添った。
「うん…」敦子は涙を自分の手で拭いた。
「あ、それはそうと新校舎の場所はわかる?」
思い出したように明子は敦子に訊いた。
「ちゃんと調べたよ。前より近くなったし歩いて行けるかなー。それに明日はすみれとアリスと一緒に行ってくるよ」
「すみれちゃんと恵ちゃんとまた同じクラスになれたらいいのにねー。あと正男君も」
「うん…」敦子の顔が曇った。
(正男だけは同じクラスになりたくない…)そう思っていたのである。
明子に言われた通り、敦子は愛子の仏壇に線香をあげて手を合わせてから床に着いた。
「…子、敦子」
「ん…!?」
敦子の目の前には着物を着た若い女性が立っていた。しかもその女性は着物と頭に着けたリボンを除けば敦子に瓜二つである。
「だっ…誰!?」敦子は驚いて女性に訊いた。
「もう、わかんないのかい。私は東山愛子だよ」
「東山愛子……おばあちゃん!?」
「そうだよ」
「…そんな格好じゃ誰かわかんないよ」「だってせっかく死んだんだしもうヨボヨボなのは嫌だよ。だからあんたと同じ、16歳の時の姿になったんだよ」
「訳わかんない…おばあちゃん、幽霊なの?」
「さぁね」
「……」敦子はいくら考えても訳がわからなかった。
「ところで、明日から2年生かい?」
「そうだよ」敦子はまた心配するのかと訊いてしまいそうになったが何とかこらえた。
「明日から新校舎なんだってね」
「…何で知ってんの?」
「しかも新校舎の場所があの更地なんでしょ」
「…うん」
「…あの場所は呪われている」
「え!?」
「危険だよ、非常に危険。そこに通っていたら何か起こるかもしれない。…特に2年6組になったらね」
「どういうこと!?」
「敦子、おばあちゃんはいつでもあんたのこと見守ってるからね。もう自分の心配なんて必要なくなったから…」そう言って愛子の姿は消えていく。
「おばあちゃん!!」
そう叫んで敦子は目を覚ました。
「なんだ、夢か…」
最初のコメントを投稿しよう!