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「素晴らしいわたしたち」の主人公はわたしではなくわたしたちの片割れのわたしである。
わたしたちはそっくりだ。
似ていないところもあるが同じであった。
ある日わたしたちはロハスを知ってパラダイムシフトした。
貧しいがどんどんエコで健康になっていった。
わたしが次のわたしたちになる日まで……。
ラストは普通。
「やっこさんがいっぱい」の主人公は四十五歳で初婚。四十八歳になる夫の転勤で北のはずれの小さな港町にやってくる。
夫の家系は短命だ。三十五歳までに親戚兄弟の多くが死んでいる。
病死もあれば、事故死もある。
だから三十五歳をひとまず過ぎれば安心できると夫は思っている。
が、夫の父親の弟が四十九歳でコロッと逝く。
金曜日の夜は夫が妻に物語る夜だ。
自分の身体に張り付くような/寄り添うような漠然とした死の話を夫は照れながらも語るのだ。
やっこさんとはテ○○○o○のことなのだが、このオチの付け方は結構ジーンと利く。
「ちがいますか」の主人公は三人姉妹の長女。
次女が喘息で三女が斜視。
だから主人公は「心延え」を良くしなければならない。
彼女には損なわれている部分が少なかったがために……。
そんな主人公も今年でもう四十六歳だ。
次女の喘息はとうに治って外国人で学者の夫とアメリカで暮らしている。
三女も不動産会社の社長と結婚している。
そして主人公だけが両親の悩みの種になっている。
朝倉かすみは官能描写に優れるといわれるが、体感的な描写にもそれがあってダニのシーンでは身体がぞわぞわしたわ。
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