7.もう、割り切れない

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 しかし、文字を打つ直前で手が止まった。  言いたいことは沢山あるし、直接の方が効率的なのでは。  忙しいのであれば後でかけ直せばいい。アプリを閉じ、電話の画面に切り替え通話ボタンをタップした。  スマホを耳に当て、手頃な壁に寄りかかって繋がるのを待つ。  2コール、3コール……電話をかけると割りとすぐ出るのに。やっぱり忙しいか。  仕方ない、一旦切って家に帰ろうとした、その時。 『……もしもし?』 「……あっ、お疲れ様です」  普段と変わらない磯崎さんの声が耳に届く。  それを聞いた私は安心感を覚えた。
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