7.もう、割り切れない

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 弾むような声に、胸元がキュッとなる。  その現象に違和感を覚えるも、さほど気にすることもなく、 「そうなると……いいですね」  穏やかな口調で返事をした。  その後2、3言程言葉を交わし、お互い帰路につくことになった。 「それじゃ、また……おやすみなさい」  最後に挨拶をして電話を切った瞬間、盛大な溜め息が出てしまった。 「はぁ……焦った」  私は何てことを言おうとしてたんだろう。 『今日は駄目ですか?』って……忙しいのわかっているのに。  都合を無視しようとしてはいけないでしょうが。  口に出す前に気付いて良かった、本当に。  無駄に速く動く心臓を深呼吸で何とか鎮めながら、駅構内へと足を進めた。
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