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「……倉沢さん」
耳もとで自分の名前を呼ぶささやき声が聞こえる。
「…………はい?」
「ここ……数字間違ってる」
「え、ウソ……あ、本当だ。一桁多い」
入荷された商品の値段を打ちこんでいたら、高い数字が出ていた。
それに全く気付かず、通りすがった先輩女性社員さんがこっそり指摘してくれた。慌てて確認し、修正を施す。
「危なかったわね……課長には黙っておくから」
「はい……ありがとうございます」
先輩が立ち去ってすぐ、盛大な溜め息をついた。
「やだもう……ほんっと調子悪い」
あまりの酷さに思わず頭を抱えてしまう。
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