10.明日、居なくなると思ったら

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 しかしこれは、束の間の幸せ。ずっと一緒にいることは多分難しい。  そう思っているから気持ちを打ち明けられない。  約束の期限はもうすぐそこまで迫っている。  当初の予定通り、クリスマスイブでお別れしなきゃならないんだろうか……。  12月。師走の名のように忙しなくなって、仕事も残業が当たり前に。  帰る頃にはすっかり日が落ち、真っ暗な夜空が広がっている。  しかし街の中はこれでもかというくらいの明るい光に満ちている。  普段以上に輝いている理由は、他でもない。  随分前から街を彩るクリスマスイルミネーションがあちらこちらで飾られているからだ。  道行く人々も心なしか笑顔に見える。
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