10.明日、居なくなると思ったら

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「嘘だ! 絶対無理してる!」  鋭い指摘に、身体が固まる。 「何でもないはずないでしょ、ちゃんと話してよ?」  声色と表情。その2つで本気で心配しているのがよくわかる。  こんなにも私の身を案じてくれるなんて……悠莉の気持ちがじわじわと伝わってきて、 「…………うっ」  堪えきれなくなり、力なくその場に座り込んでしまった。 「マコ!?」  悠莉の叫び声がエレベーターホールに響き渡る。同時に、近くにいた社員達も何事かと騒ぎだした。 「ねぇ、どうしたの? 大丈夫?」  慌てた声で身体を揺すり、私の顔を覗きこんでくるのがうっすら見える。
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