10.明日、居なくなると思ったら

12/47
前へ
/733ページ
次へ
 鼻をすすりながらも友人の有り難みを噛み締める。 「とりあえず、適当に注文するね。マコは……烏龍茶にしておく?」 「……うん」  今回はお任せにしよう。タッチパネルを手早く操作する悠莉をただ見つめていた。 「さて……」  注文を終わらせた悠莉は、タッチパネルを元の場所に置き私の方へ向き直った。 「泣く程辛くて苦しいことって、何? ケンカ……ではなさそうだね。磯崎さん、一昨日来社した時いつも通りだったから」 「…………」 「解決出来るかわかんないけどさ、ちゃんと話してほしいな。力になりたいもん」  そう言って再び手を握る。両手で包み込むように。
/733ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3637人が本棚に入れています
本棚に追加