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……うん、これは知らなかったな。  知っていたらムキにならずにサラリと返すはず。  フリなんかしなくても別にいいのに。そういうところもマコちゃんの可愛らしさだと思う。  こんなことを頭に浮かべながら、久しぶりの感触を楽しむ。  元カノの華奢な手とは程遠い、アスリートならではのマコちゃんの手。独特の固さがある。  タコが出来る、というのは俺もそんなに大差ないんだけど。 「…………」  駅に到着し、電車に乗る。手を繋いでいるせいか普段より近い。  でも会話は最低限。疲労が出てきたからだが、倦怠期に見られないようにはする。  恋人って、こんな感じかな。人前では見苦しくない程度にイチャついて。結構理想に近い。  これを維持するにはどうすれば良いのやら。窓の外の夜景を見ながら答えを探していた。
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