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「…………してる」 「え?」 「ずっと、我慢してる。そんなの……当たり前じゃん。何度手を出そうと思ったか……」  正直な思いを話す。近付いたことで静かに動いていた心臓が暴れ始める。 「キスした日も……ホテルに連れ込もうとか考えたもん。だけど理性で抑えた。許可なく触らないって条件だから」  欲求不満を吐き出している自分の声は、なぜだか誘う雰囲気に。 「望むなら本能に従ってやってもいい。でも、それじゃ駄目だ。見境なく襲って嫌な思いさせたら本末転倒。 『初めて』が、台無しになってしまう。だから慎重になってる。無駄な傷を付けたくないし」 「…………」 「マコちゃん次第だとは言ったけど……生半可な気持ちで抱かれようとしないで。あれは、簡単にするもんじゃない」
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