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「……大丈夫です。迷いなんかありません」  力強い言葉が、耳に入ってきた。 「だから泊まりたいって言いました。きっと今日何もなかった方が後悔しそう……」  時折震えそうにも聞こえたが、意志は固いよう。 「お願いします。私にいい思い出、ください……」  一言一言に揺るがない覚悟を感じた。  幾度となく静かになる部屋。マコちゃんの言葉から数分。 『いい思い出がほしい』。深い意味がある気もするが。  強く望むなら、叶えてあげるのが俺の役目。  嫌な思い出にさせない為に。目を閉じて、欲望を鎮める。
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