第1章

3/4
前へ
/4ページ
次へ
ビンからの脱出が不可能である事に気が付かされると、このビンの封印を解いてくれた者に渡す褒美をあれこれ考え、それと共に、勇者や勇者と一緒に儂をこのビンの中に閉じ込めた奴らの子孫に対し、どのような復讐を与えてやるか色々と妄想する。 長い、長い年月が過ぎ去り、ビンは人気の無い砂浜に打ち上げられた。 打ち上げられた数日後、青白い顔をした人間が儂を封じ込めているビンを拾い、中を透かし見てからビンの蓋を抜く。 蓋が抜かれると共に儂はビンから抜け出し、蓋を抜いた男に声をかける。 男は驚愕の表情でビンを放り出し、儂を凝視していた。 儂をビンから出してくれたお礼に、3ツの願いを叶えてやろうと男に問いかけた所。 男が願った望みは、たった1ツだった。 それは立場を入れ替えて欲しいとの願いである。 男はそれなりに売れている小説家だが、ここ最近ネタが全く浮かばないのに、新作を要求する編集者に近くのホテルに軟禁されていたが、編集者の目を盗みホテルから抜け出して来たとの事。 確かに遠くの方から、この男の名を呼ぶ数人の男達の声が聞こえてくる。 その遠くから聞こえてくる声を耳にした男は、儂にすがりつくようにして願いを口にした。 儂も封じ込められてから、どれほどの年月が過ぎ去ったか分からない事もあり、取り敢えずこの男と入れ替わる事にする。 男をビンに封じ込め、力一杯ビンを沖の方へ投げた。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加