第1章

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儂はその後、男を探していた編集者達に捕まりホテルに軟禁される。 そこで儂はビンの中で幾通りも妄想した、勇者達への復讐を作品として書き上げた。 コミックや映画にもなったから、お前達も聞いた事があると思うが、「ワールドウォーズ 魔王の逆襲」で始まるシリーズ物だ。 小説を書きながら、配下の者達の子孫を探す。 知恵の実を食べたため文明が発達し、儂が支配していた頃は考えられなかった武器があふれるこの世界を、儂の手に取り戻すには儂だけでは力不足。 同じように、人間やその同盟者達を恨んでいる筈の部族の者を探した。 その結果、儂はベジタリアンになる。 人間やその同盟者達は、自分達が家畜として扱われ食われていた恨みを忘れず、儂に最後まで忠誠を誓い、最後の戦いに参加した部族の者達を家畜にしていた。 ゴブリン族が豚に、ミノタウロス族が牛に、ケンタウロス族が馬に、コカトリス族が鶏に改造され、家畜として飼育されており、彼等にはその先祖達が有していた知能の欠片さえ残っていない。 それを知った時、知らなかったとはいえ、それらの肉を食ってしまっていた事に驚愕し、血反吐を吐き、それ以降肉を口に出来なくなる。 あの時、ビンの蓋が抜かれた時、蓋を抜いた人間族の男を殺してビンの中に戻り、海を漂い続ければ良かった。 それともこれが、勇者達が目論んだ、儂への報復の極みなのだろうか?
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