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だが、あいつはノンケよりバイで俺は生粋のゲイだ。
明るい道を歩めるあいつをわざわざこちらの道に引きずるなんてこと出来るわけがない
今のように体だけ繋げてこの気持ちを拗らせるよりはまだ傷が浅いうちにあいつから離れた方が良いに決まっている
こうなったらひっそり出ていくしかないかななんて考えていると突如部屋の鍵が開く音がして思わず布団へと潜り込む
こちらに向かってくる足音の正体はどう考えてもあいつしかいない
なんでこんな時間に帰ってきたのかはわからないが今この状況で顔を見合わせるなんて心の準備ができてない
部屋の扉が開きあいつが入ってくる。
俺は寝たふりをきめこんだがこちらに向けるやつの視線からは逃げられず見つめられていることに嫌でも気づいてしまう。
「おい、起きてるんだろ。下手な寝たフリはやめろ。」
そう言われてしまってはどうしようもなくしぶしぶ布団から顔を除かせると突然上に被さられた
驚きに目を見張ると力強く抱き締められる。突然のことに頭がついていかず目を白黒させているとふと体が離れ代わりに首もとに銀のチェーンが付けられていた
「…なにこれ。」
「首輪の代りだ。」
「は?」
そう言われてよくみるとチェーンにはシンプルな銀色の指輪が通されていた
「え…これ」
「俺と付き合ってくれ。」
突然の告白と久々に見るあいつの顔に目を合わせる事が出来ず思わず俯く
「この間お前にルームシェア止めないかって言われて心臓止まるかとおもったんだ。だから、誰かにとられる前にと思って。」
だからそれでお前を少しでも繋げたらいいなと思ってと目の前のやつは小さく呟いた
「お前になら繋がれたい。
俺は…お前の方が離れてっちゃうんじゃないかと思ってた。」
俺の言葉にやつは心外だと言わんばかりに眉を寄せ俺の両頬を捕らえ引き寄せた
「やっとここまで漕ぎ着けたのに今更俺がお前のこと手離すと思う?」
そう言われて今頃、俺は自分で思っていた以上にこいつに思われていたのかと認識する。
「もう、あんなこと言うなよ…?」
「うん、言わない。だから、好きなだけ俺を繋いで…?」
そう言うときつく抱き締められそれに答えるように俺も抱き締め返した
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