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面倒見がいいのは元からだろうけど、何かと須賀さんを気にかけている彼ならば、充分に考えられる。
そもそも須賀さんが転校してきた初日から、彼は彼女を気にしている節があったし、彼女もまた同様で。
だから初めのうちは、もしかして一目惚れでもしたんじゃ……と密かに無粋な勘繰りもしたけれど、2人がお互いに感じるものは何やら別のものではないかと思い直したのはすぐのこと。
それが何なのかは、未だにわからない。
私が安易に入り込んではいけない気がして、でも何か助けになればと、ちょこちょこお節介を焼いちゃったりもしたけども、やっぱり謎のままだ。
ただ、互いが互いに“他とは別の存在”として意識していると、これだけは確信している。
相手の一挙手一投足に、彼、また彼女じゃなければ出さないだろう反応を見せるのがその証拠。
そもそもが、相手のいちいちを目で追ったり反応してる時点で、もう……ね?
最近じゃ、私を介さなくても2人で話す姿をよく見掛けるようになったし、この分なら風祭くんが気にしてるであろう彼女の敬語も、取れる日はきっとすぐそこで。
もしかしたら、もしかすると、だ。
“無粋な勘繰り”を再びする日も遠くないんじゃないか……なんて。
「まーたにやけてるし。美也っちってばヤラシーんだ~。ほら、須賀っちもなんとか言ってやってよ」
考えを色々と巡らせている間に、また頬が緩んでたらしい。
引き締めたいところだけど、いつの間にか奈緒ちゃんの須賀さんへの呼び方がフランクになってることに気付いたら、容易じゃなくて。
「え…っ!?で、でも、中谷さんが笑ってくれてると、その…私も嬉しいので……」
ああ、もう…っ。
須賀さんまで私を喜ばせることを言うんだもの、一日中だってにやけてられると思った。
──奈緒ちゃんの次の言葉を聞くまでは。
「何その胸キュンな台詞!
あーあ、こりゃ彼氏も溺愛だね」
…………はい?
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