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「す…すみません……私……」
「いやー、こっちこそごめんね?勝手な誤解で慌てさせちゃって」
心底申し訳なさそうに眉をハの字にして俯く須賀さんに、気に病ませないよう敢えて明るくさらっと謝る奈緒ちゃん。
そんな行為を無意識にできちゃうとこは彼女の長所だけど、たまにひょいと投げてくる、さっきみたいな爆弾発言はどう評価したものか。
まぁそれは今後の課題?として……
「でも、なんでそんな話が?」
今は爆弾の火種を明かすことの方が先決、よね。
私の問いは勿論須賀さんも大いに気になっていたよう。
2つの視線を受けて、奈緒ちゃんはポリポリと人差し指で頬を掻いた。
「やー、実はさ、隣のクラスの子に聞いたんだよね。須賀っちがイケメンと仲良さげに一緒に歩いてるの見たって」
「……イケメンと……ですか?」
そう言われても、まるで心当たりがない様子で須賀さんはキョトンとする、……が。
「その子の話によるとね?背はそこそこあって、スタイルもよくて、多分大学生くらいでー」
「背がそこそこ……スタイルがいい大学生……」
「鼻筋が通ってて、目は垂れ目がちでどことなく色気もあるけど、笑うと可愛くてー」
「鼻筋……垂れ…目……」
「あ、あとね、髪がふわふわしてて、須賀っちとお揃いな感じだったって言ってたなー」
「…………」
どうも様子がおかしい。
余程興味があったのか、よくそこまで覚えてるなと感心する程すらすらと出てくる特徴を反芻していた呟きが、次第に小さくなっていき遂には途切れてしまう。
なんだろう……もしかして、思い当たる人物がいたとか……?
だとしたら、彼女にこんな遠い目をさせる人って一体……。
その疑問は程なくして、須賀さんの口からそれはそれは重たそうに零れ落ちた。
「それ……私のお兄ちゃん…です……」
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