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人間、本気で驚いた時にはまともな会話もままならなくなるらしい。
「こっ、こここ…っ!?」と一文字だけをひたすら羅列する私を、「ニワトリみた~い」なんて楽しげに笑う関さんに、「でも須賀はどっちかっつーとヒヨコっぽくね?」と乗っかる高峯さん。
栗崎さんに至っては「ほぉん、まつりんがねぇ」と何やらにんまり顔だ。
まつりんて呼び方可愛……じゃなくて!
ここ、こし、腰取り、だなんて全くの誤解なのに、ど、どうしよ…一体どう収集すれば……っ。
「はいはい、そこまで」
な、中谷さん……!
どこから切り込んでいいやら迷子だった私の救世主は、やっぱり彼女だった。
私がうっかり落としてしまったバットすらも、然り気無く拾い上げてくれるオマケ付きで。
高峯さんの喩えを借りるならば、私がヒヨコなら、頼りになる中谷さんは親鳥といったところだろうか。
最も、ニワトリよりタンチョウヅルの方が彼女には合うけれど。
「ええ~、止めちゃうの~?須賀さん可愛かったのにぃ」
「まぁそこは否定しないかな」
「しないんか。
つか、何気に訳知り顔だよな?」
「そりゃまぁ」
「うわ、美也っちドヤ顔ー!」
瞬く間に皆の注意を引き、ポンポン飛び交う言葉にもさらりと応える中谷さんの手腕はそこに留まらない。
「ていうか、円花ちゃんが聞いたのって向坂くん辺りでしょ?」
「ありゃ、バレたか~」
「ま、あんなこと言う人は限られてるからね」
関さんの情報源まで言い当ててしまうんだから、ほんとすごい。
クラスメイト一人ひとりの性格や、誰と誰が親しいのか把握してなきゃ出来ない芸当は、流石というかもう尊敬の域だ。
それを眼差しに乗せつつ、そっか向坂くんだったんだ、と頷いてからふと疑問がわいた。
全然気付かなかった私もあれだけど、なんで声掛けなかったのかな?
風祭くんと仲良さそうなのに……。
「あー、向坂がムッツリだからじゃね?」
「あっはは!サッキー酷い言われよう!でもあたしもそうしちゃうかなー」
「ね~。青春って感じだもんねぇ。やーん、甘ずっぱぁい♪」
ほんの小さく呟いたつもりだったのに、皆の耳にはしっかり届いてたらしい。
だけど、盛り上がる意味はいまいちわからず、首を傾げてしまう。
そんな私に投げ掛けられたのは、更なる疑問で。
「で、どうなの?実際」
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