十月

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(6/10) ……どう?? どうって……どういう……? 「……あの……?」 「最近2人イイカンジでしょ~?そこんとこ須賀さんはどう思ってるのかな~、てこと」 栗崎さんの問い掛けに尚首を傾げる私を見かねてか、関さんが噛み砕いてくれるけど、すんなりは飲み込めなくて。 「………………イイカンジ?」 「うんうん」 「……イイカンジ……ですか」 「そ~」 「イイカンジ……」 「……念のために言っとくけど、須賀と風祭の仲が、って意味な」 あ、成程。 私と風祭くんの仲がイイカンジ、と……。 …………………………え。 えええええっ!?そ、それって……!! ビッ、と傾けていた首を反射的に垂直に戻すと、じっと私を見つめる8つの瞳に初めて気付く。 真剣なようで何かに期待するような……そんな目力にゴクリと喉を鳴らしてから、私は意を決して口を開いた。 「それは……と、友達に近づけてるってことでしょうか……!?」 「「「「…………」」」」 …………あ、れ……? 見間違いじゃなければ、皆が一気に脱力したような……? 栗崎さんはあからさまに肩を落としてるし、高峯さんだって額に手を当てて首を振っている。中谷さんと関さんもやんわり笑みを浮かべてるけど、苦笑いだよね?これ。 イイカンジ、なんて言われて舞い上がっちゃったけど……。 「す、すみません、勘違いして……。やっぱり、そこまでは烏滸がましいですよね……」 残念やら恥ずかしいやらなにやらで、俯いたまま目だけで恐る恐る皆を窺えば、そこにあったのは揃ってポカーンと呆気に取られたとばかりの顔が4つ。 え……っと……?? 最早頭にはハテナマークしか並ぶ隙がない私と、顔を見合わせることどのくらいだっただろうか。 不意に、くっ、と笑い声が漏れた。
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