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「んんー…でもそーなると更に謎だなー」
恥ずかしさで最早手を顔から離せなくなった私の横で、栗崎さんが唸る。
真っ先につついてくるかと思われた彼女には、そんなことより気になることがあるようで。
私にはその『謎』が謎なんだけれど、どうもわかってないのは私だけみたいだ。
「だねぇ。ハチマキまで書き合ってるのに~」
「そう!そうなんだよ!なのに、おが…おご……なんだっけ?」
「『烏滸がましい』な。
栗崎の頭も心配だけど、須賀もなかなか重症つーか……」
なんつったらいいかなー、とぽりぽりと頭を掻いた高峯さんは、だけど気を取り直すように私を見据えた。
「須賀さ、中谷から聞かなかった?
ハチマキにメッセージ書き合う理由」
そう問われ、戸惑いながらもコクンと頷く。
「き、聞いてます。勝利のジンクスもあるけど、親睦を深めたりできるからって……だから、私……」
皆と書きたいと思った。
いざお願いするとなったら、やっぱり不安とか緊張でドキドキしたけど、皆笑顔で応えてくれて。
「……すごく、嬉しかったんです。まっさらだったハチマキが皆のメッセージで埋まっていくのが、すごく、すごく……」
仲良くなりたいって気持ちを、受け入れてもらえたみたいで。
独り善がりじゃないよって、言ってもらえたみたいで。
泣きそうになるくらい、嬉しかった。
思い出すだけで胸がいっぱいになって言葉に詰まってしまった私の手をそっと包むように取ったのは、関さん。
同じくらいの目線にある彼女の顔は、うん、とにっこり満足げな笑みを象る。
「それ、風祭くんもきっとおんなじだよ~。親睦、深めたかったんじゃないかなぁ、須賀さんと」
「うんうん。なのにヒクツっていうか、引け目みたく感じてるとかさー。もし須賀っちが思われてたらどうよ?」
あ……。
「……さ、さみしい、です……」
「でっしょー?だからこれからはそう思うのナシ、だからね」
「そ。アンタはさ、もっと自信持っていーんだよ。つか、持て」
ぽん、と栗崎さんに右肩を、高峯さんに左肩を続けざまに叩かれたその傍では、口を挟まず見守るようにしていた中谷さんも目を細めて頷いていて。
「ありがとう、ございます……っ」
言わずにはいられなかった。
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