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だってきっと、一人じゃ無理だった。
仲良くなるための努力を自分なりにはしてるつもりでも、やっぱり背中合わせにある、不安。
これは間違ってないかな、空回ってないかな、そんな気持ちが靄みたいに、『友達』への行く手を霞ませていた。
皆がいなかったら、ずっとおんなじ場所をぐるぐると回っているだけだっただろう。
友達作りも下手で、クラスの輪にも入れず、悩んで凹んでた過去の私からは考えられない。
こんな風に、こっちだよと手を差し伸べてくれる人達が私の傍にいる、なんて……。
「……私、転校してきたのがこのクラスで、よかったです。皆に出会えて……ほんとうに、嬉しいです……っ」
鼻の奥がツンとして、喉がぎゅううっと締め付けられるみたいにじんじんと痛む中、なんとか出した声は、やっぱり涙声で。
辛うじて涙は目の際で留まっていたけれど……
「うん、一緒だね」
くしゃりと顔を綻ばせた中谷さんの一言で、難無く決壊してしまった。
「あー、美也っち泣かせたー!」
「えぇ、私だけ?連帯責任じゃない?」
「ん~、ならぁ、ちょっと湿ったハンカチでよければ提供するよ~?それかぁ、ミネちゃんのほんのり柔らかい胸か~」
「おいこら、ほんのりは余計だっつのっ」
泣き止ませようって意図があったのかなかったのか。
私を囲んで交わされる冗談混じりのやりとりは楽しげで、ついつられて笑ってしまう、……と。
「……笑ったな……?」
関さんに向けられていたジトーとした高峯さんの目が、私へとターゲットを変えた。
「え、あ……、す、すみませ…っ、でも、笑ったのはそういう意味じゃ…」
「でも笑ったよな?」
「や……その…」
「落とし前、つけてくれるよな?」
弁解するも、畳み掛けるように凄んでくる高峯さんは、栗崎さんより背があるだけに迫力も満点だ。
つい頷いて……正しくは頷かされてしまった私は、どんな『落とし前』を申し付けられるのか身構えたけれど。
「んじゃ、須賀。アタシらへの敬語、今から禁止。さん付けもな」
待っていたのは思いもよらないそれと、悪戯っぽい笑みだった。
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