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「堅っ苦しいったらなかったんだよなー。はい、決まり。罰だからな、異議は認めん」
「うわー、キャプテン横暴ー。でもさんせーい♪」
「私も~♪」
呆けた私の顔の真ん前にビシッと人差し指を突き付けた高峯さんに、高らかに手を挙げて賛同する栗崎さんと関さん。
それにキョドキョドしていれば、「多数決には従わないと、ね?」と肩の辺りで挙げた手をアピールしながら、中谷さんがトドメをお見舞いしてくれた。
……そんな嬉しい罰、聞いたことないよ。
せっかく止まっていた涙が、また出てきてしまいそうだ。
こっそり目尻を袖で拭っていると、ふと、視界の端が明るくなったのに気付く。
「あ……。雨が……」
いつの間に弱まっていたんだろう。蜘蛛の糸のように細くまばらになった雨は、雲の切れ間から差し込んだ陽に照らされて、キラキラと光る。
「ほんとだ、止みそうだね」
ほら、あっち、と中谷さんが指差した方向には、陽射しと共にひょっこりと顔を出した青空。
あのハチマキと、同じ色。
『One for all, All for one.
Our hearts are always one.』
私が書いた『お互い怪我なく、ベストを尽くせますように』の言葉と交換し合った、風祭くんからのメッセージ。
あの時は、それがあの頃シュウくんが夢中だったヒーローの決め台詞だったことを思い出して、全部が全部忘れてるわけじゃないんだって、今も好きなんだなぁって、微笑ましい気持ちがほとんどだったけれど。
中谷さんたち4人が諭してくれた今は、心持ちが違う。
仲良くなりたい気持ちは皆一緒だと。
私もこのクラスの一員なんだって胸を張ればいいんだと。
そう後押ししてくれたように感じるんだ。
「よーし!練習再開だー!」
栗崎さんの元気のいい号令を合図に、皆で東屋の外に飛び出す。
その頭上には、淡く柔らかな色彩を重ねた虹が、私たちに微笑みかけるようにふんわりと架かっていた。
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