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『泣くなって、マチ。
どんなに離れてても、俺たちずっと友達だろ!』
お別れが悲しくて遂には泣き出してしまった私に、そう言ってくれた男の子。
シュウくん。
『どこにいても俺が絶対助けに行ってやるからな』
頼もしい言葉と、優しい笑顔を真っ直ぐ向けてくれて。
『だから約束。
それと……これは友情の証だ』
そうして柔らかくも固く交わした指切り。
続けて差し出されたストラップは、私がシュウくんにあげようと用意していたものとチャームや色は違えどお揃いで。
ただの偶然とは思えないそれに、『すげーな、俺たち!』と目を輝かせて嬉しそうに笑ったシュウくんのお陰で、やっと私は笑えたんだ。
離れてからも、その思い出はずっと色褪せず心の中にいて、私を支えてくれた。
新しい学校になかなか馴染めなかった時も、転校生にはよくあるだろう嫌がらせにあった時も……あの約束が、証が、シュウくんの存在があったから、心が潰れずにいられた。
だから、またこの地に戻ってくることになって、まず浮かんだのはシュウくんのことだった。
決して小さくはない街だということも、あの思い出は鮮明でも、それ以外は朧気で宛に出来ないことも、引っ越して早々に突きつけられてしまったけれど。
私がそうであったように、既にこの街にはいない可能性だって考えたけれど。
でも、それでも。
きっと。もしかしたら……。
肩に掛けた鞄に手を滑らせて、シュウくんから貰ったストラップをきゅっと軽く握る。
──ガラッ。
「須賀、おまたせ。入って」
「……はい」
教室の中から聞こえるざわめきが緊張と不安を煽るけど。
ほんのり宿るあたたかな期待に後押しされるように、私は足を踏み出した。
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