五月

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ドクン、と心臓が大きく揺れたのと同時に、時が止まったみたいな錯覚に陥る。 確かに期待してた。 学校なら、同年代がこれだけ集まる場所なら、会えるんじゃないかって。 左目にかかるさらりと揺れた前髪。光彩を乗せた意志の強そうな瞳。そして、纏う雰囲気。 確信は、ない。 でも…… 今まさに目に映るその人は、まるで。まるで…… 「シュ…」 思わず呼び掛けようとした時だった。 かち合っていた瞳がパッと逸らされ、はっと我に返る。 そ、そうだ……私、席に……。 内心動揺したまま足早に席に着くと、隣の女の子が「よろしくね」とにっこり笑ってくれる。 親しげなその行為はとても嬉しいものなのに、返事をしながらも意識はあの彼に持っていかれていて。 ついさっきまであれだけ感じていた視線だって、いつの間にか気にならなくなっていた。 斜め前方、机3つ分離れた後ろ姿を見つめる。 ずっとずっと、会いたかった人──。 あなたは…… “シュウくん”ですか……? image=499892753.jpg
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