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「……それ、癖?」
「え……?」
「何でも一人でやりたがるっつーか、遠慮しぃ、つーか……」
風祭くんは呆れたような、少しだけ苛ついたような…そんな溜息をついて、……そして。
「ちゃんと、言えよ」
真っ直ぐ、私を見据えた。
「自分でなんとかしようって姿勢は嫌いじゃねーけど、一人じゃ解決出来ないこともあんだろ?
そういう時は言えばいいんだよ。頼ればいい。……迷惑とか嫌だなんて思わねぇんだから」
……っ!
まるで見透かされたみたいな言葉に、瞼が限界まで持ち上がって……心が、ふるえる。
……そうだ。
彼は、シュウくんなんだ。
『どこにいても俺が絶対助けに行ってやるからな!』
私に言ったんだってことは覚えてなくても、言ってくれたことは確かで、そんな彼が迷惑だとか嫌だなんて思うはずがない。
そのことをわかっていたはずなのに……。
覚えててくれなかったことを、心のどこかで拗ねていたのかもしれない。
今はクラスメイトなんだと変な線引きをして、そうじゃなきゃいけないって、思い込もうとしてたのかもしれない。
信じておきながら、支えにしておきながら……
『ずっと友達』でいるための、努力もしないで。
「……そ…ですよね。なんか私…変に考えちゃって……。
でも、あの…っ、これからはちゃんと言うように、します。
あ、勿論、許容範囲でというか……」
ばつが悪くて、たどたどしく窺うようにそう口にすれば、風祭くんは、ははっ、と声をあげて笑う。
「わかってるって。
つーかマジで言えよ?遠慮されるほうがよっぽど……」
「……?」
「い、いやっ、とにかくだ!
こういう時は、ありがとうって任しちまえばいいっつーことだ!以上!」
何故だか少し顔を赤くして話を切り上げ、止めていた足を倉庫へと足早に向ける風祭くん。
その背中を追いかけながら、彼の言葉を実行する。
「風祭くんっ、ありがとうございます……っ」
箱を持ってくれたことだけじゃない。
距離を測りあぐねて、一歩も二歩も引いてた私に近づいてくれたこと。近づいてもいいって教えてくれたこと。
それらを含めたことに、彼は気付いたかな?
そんなことが気になっていて、浮かれていて。
「ありがとう、だけでいいっつーの……」
更に浮かれそうな小さな呟きは、聞こえていなかった。
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