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その一環として、とりあえず図書室から出てみようと思いたったのだが、彼はその時開いたままだった扉をくぐり抜けることができなかったのである。
「ああもう、分からないことだらけだ! おいお前! 後で話はゆっくりと聞かせてもらうからな!」
早緒が返事するかどうかを迷っているうちに、女子生徒は美姫の腰に手を当て、彼女の腕を自分の肩に回して図書室から出て行った。
「……何だか今日は、騒がしかったなぁ……って、まだ終わらないのかもしれないけど」
そんなことを呟きながら、ゆっくりと女子生徒が閉めることのできなかった扉に近付き、そっと閉めた。
「はぁ。『閉める』ことならできるのに……。まあ、いいか。まずは本の整理から始めようかな」
『どうやら、まだ僕の一日は終わってくれそうにはない。』
彼も『また』、いつもとは違うどこか歪な日常に一縷の希望を見出そうとしていた。
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