鬼上司の下で働くことになりまして。

場違いなオフィス

エレベーターのドアが開き、半透明ガラスで覆われた自動扉の前に立つ。

自動扉の横の機械にIDカードをかざすと自動扉が開いた。

　オフィスを初めて目の当たりにして唖然とする。

ポカーンと口を開けて、だらしなく突っ立ったまま目線だけ動かした。

　想像通りというか、想像以上というか、IT企業なだけあって、とにかくオシャレで活気に満ちている。

　だだっ広いオフィスには、色とりどりのデスクが島を作って並べられている。

赤とか緑とか黄色とか、およそオフィスには相応しくない、よくその色のデスク見つけたねと感心してしまうような奇抜なデスクだ。

　そしてなぜか中央に、緑鮮やかな大木がでんと居座っている。

いくらオフィスが広いからといって、真ん中に大木置いたら邪魔でしょうと突っ込みたくなるけれど、この大木のおかげでオシャレさがぐんと増しているのは明らかだ。

　右の壁には巨大スクリーンが映画館のように設置され、企業広告CMが流れている。

オシャレな喫茶店で流れるようなBGMが、気にならない程度に流れているのも今時だ。