通勤電車の妄想恋

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「スマホで何やってるの?」  え、スマホ?まさかの肩すかしに、途端に頭が冷えていく。 「えっと……アプリゲームです」  まさか乙女ゲームをやってるなんて恥ずかしくて言えるはずもなく、アプリゲームで誤魔化す。嘘は言ってない。 「いつもゲームやってるよね」 「えっと……」  なにやら色んなところから嫌な汗が出てきた。 ゲームやってるのバレてるぅ。 ということは、画面が見えてたってことで、乙女ゲームやってることも絶対バレてるわけで……。 「ああ、悪い、紹介が遅れたな。俺はこういう仕事をしているんだ」  胸ポケットから名刺を取り出し、私にくれた。 ヤッホー、スーツ王子の名刺ゲット! なんて心の中で小躍りしながら名刺を受け取り、会社名を見る。 「株式会社……エルニカ!?え、あのエルニカ!?」  思わず声が大きくなる。 エルニカっていったらアプリゲームの先駆者で、私がハマってるアプリゲームのほとんどがエルニカが作ったものだ。 もちろん、『スーツ萌え』もエルニカが手掛けている。  更に名刺をよく読むと、肩書が「General Producer」と書いてあり、そしてなんと名前が……。
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