通勤電車の妄想恋

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あっ、ちょっと待って。 キタキタ。来ました。  私の最近の密かな楽しみ。 『彼』が乗ってきましたよ。  ああ、今日も高級賃貸エリアの駅から、見目麗しいスーツ男子が怠そうな表情をして我が車両に乗り込んでまいりました。  くう~っ!いつ見ても素敵すぎる。 180センチはある高身長に、小さな顔。 目は奥二重だけれど彫りが深いからか大きく見える。 鼻筋は高く、唇は薄く、それでいてセクシーさを感じさせる不思議な造り。 歳はたぶん二十代後半か三十代前半くらい。  高身長で顔立ちがいいだけでも生唾ものなのに、何よりスーツが似合うんだ! ああ、ヤバイ、見てるだけで鼻血出る。  細身のネイビースーツをさらりと着こなしちゃって、腕時計もバッグも高級品。  あ、私、見ただけでどこのブランドか分かる、なんて特技は全くなくて、ブランド品とか縁ないし、大して興味もないんだけど、きっとこの御方の持ち物は高級ブランド品に違いないと思い、ググったんです。ネットで調べたんです。 もはやちょっとしたストーカーだな、なんて鋭い突っ込みはやめてください。  ただ穴が開くほどじっくり彼を観察している変態です。 ストーカーではありません。 どちらの方がタチ悪いかは、各々の価値観に委ねます。
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