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あの時のことを思い出すと、今でも興奮して口調が昔風になるんだけど、まったく意味はありません。
それからというもの、少し早めに駅に到着して一本早い電車に乗れる時でも、榊原蒼紫様のソックリさんに会った電車の時間に合わせて、かつ毎回同じ車両に乗ることにした私。
最初の頃は会えない日もあったけれど、最近では毎朝会えるようになって、もう嬉しくて鼻の下が伸びてしょうがない。
そんなゲームのキャラクターにソックリな現実にいる彼を見ながら、『妄想』するのが毎朝の愉しみ。
どんな妄想かって? やだ、聞いちゃう、ソレ。
……以下、妄想シーン
劈(つんざ)くような甲高い音がして電車が止まった。
突然の車両事故により、電車から乗客全員が降りることになった。
駅のホームまで、線路内を歩いていくことになった私は、動揺と不安で身体が震えていた。(実際の私はこれくらいのことじゃ震えない。妄想の中ではか弱い設定の私)
『震えてるよ。怖いの?』
慣れない足取りで線路を歩いていた私は、肩を叩かれ突然声を掛けられたことに驚いて顔を上げた。
するとそこには、超絶イケメンのスーツ王子、榊原蒼紫ソックリさんがいた。
『あ、いや、この震えは、その……』
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