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またこうやっておじいさんと登れるなんてねえ。三年前の約束、覚えてらした?」
「ああ」
「まあ嬉しい。元気になったら、またべっこうさんに登りましょうって、あのときは珍しくおじいさんから言ってくれたのよ」
「そうだったか」
山の頂に着いても、二人は足を止めずに登り続けた。
「あの頃は、山頂からの景色があまりにも綺麗で、二人でどれだけでも眺めてられたわね。いっそのこと、べっこうさんのてっぺんに家を建てようかなんて言って。おかしいわね」
「ああ、そうだな」
「若い頃もよかったけれど、今の景色もいいわね」
べっこうさんに差した一筋の光が、ゆらめきながら朝の空に溶けていった。
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