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「貴様こいつらになにをした」
彼女は激昂していた。全ての物を殺せるような殺気をだして。
その殺気を目の前にしても笑っている男もいた。
「あははは、僕はたいした事はしてないよ」
しかし、彼の手には大きな太刀が握りしめられていた。その太刀からは真っ赤な液体が滴り落ちていた。
「貴様は自分でなにをしたのかわかっていないのかか!?」
「僕はただ邪魔物を捩じ伏せただけじゃないか」
彼の回りには血塗れの人間が三人転がって地面を紅く染めていた。
「僕は悪くない」
「貴様よくもそんな嘘がぬけぬけと!」
彼女は走りだし彼を倒そうとする。もちろん彼女は何も武器を持ってないし特殊能力だって持っていない。ただの普通の女の子なのだから、それでも怒りのままあの男を殺してやるという事以外考えられなかったのだ。
「宝条院さんさようなら、またね」
彼が刀を降り下ろした時に世界が止まったように二人がぴくりとも動けなくなった。
「なっ、なに…なんだこれは」
「誰だい僕の邪魔をするのは」
彼女はこの現象に驚き畏怖する。
だがこれは普通の反応だ。しかし彼は驚きも畏怖もせず至って冷静であった。
「皇遊騎君、宝条院桜子君、この殺しあいは終わりじゃ」
二人の間には80代位の老人が立って皇の太刀を指二本で受け止めていた。
「ホッホッホッ…中々元気の良い童じゃ、適正は充分。むしろ期待以上」
「何を言ってるの?僕の邪魔をするなんて只じゃすませないよ?」
「ホッホッホッ…儂の殺気にもう慣れて動けるのか。恐ろしい童じゃ、ならば遊んでやるかの」
(そんな、私は殺気だけで動けなかったというのか)
老人はどこから出したか皇より大きな太刀を振り上げ皇に向かう。
「しかし、まだ弱い」
老人は一瞬にして皇の後ろに回りには峰の方で皇を叩き伏せる
「そ…んな…」
その一撃で皇は気絶し倒れる。
「さてと、儂はこやつを連れていくとするが、良いかの?」
「ご老人貴方は一体何者なんですか?」
「ホッホッホッ…神…じゃよ」
そういうと老人は一瞬にして消え最初からそこには何もなかったかのようにいなくなり、後に残るのは血塗れの人間と茫然とする少女だけであった。
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