まさやんとレディコミ ~意外な一面番外編~

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「どれどれ。『社内恋愛二人だけの残業』これまた、意味深なタイトルですね」  そりゃそうだよ、レディコミなんですから。 「ふむ、190ページですか、よし!」  いきなり本を閉じる正仁さん。何をするんだろうと首を傾げつつ隣に腰を降ろし、じーっと観察してみた。すると――  パラパラパラパラ……速読術を使ってるように、いきなり早めくりしだした。  速読術ってこうやってマンガも、すらすらと読めちゃうものなの!? 「あの正仁さん、その早さで読めてるんですか?」 「読めません。ただ少年マンガとの違いを、少し離れた視点から比べているだけです」 「そうですか……」  ――やっぱりね……そりゃ、そうだよ。 「全体的に、白い部分が多いですね。背景もやたらと、白ぬきが多いせいでしょうか?」  いやそれは単純に、肌の露出が多いせいかと思います。 「さて190ページでしたね。どれどれ……」  出だしからこの状態。表紙を見つめてからは、既に3分経過しました。 「……正仁さん、表紙をガン見して、何を考えているんですか?」 「主人公の女性、目の大きさが顔の半分近くもあって、凄いなぁと思っていたんです。しかも目の中に白い光らしきモノが三つも入っていて、この光線は実際にどこからきているものかと、つい探してしまいました」 「はぁ……」 「制服から見えている下着も、実に丁寧に描かれていますね。君も、こんなの欲しいですか?」  わざわざ指を差して、変な質問してくる始末。――全然本題に、進まないじゃない! 「あの~正仁さん、表紙はもういいですから、内容に進みましょうね。この間の問題発言が、きちんと載っていますから」  私は無理矢理に次ページをめくったんだけど、そこでも足止めくったのである。 「この会社のロッカーとデスクの配置は、見るからに使い勝手が悪そうですね。それだけじゃなく、デスク周りの雑然としたこの状態は、何ですかコレ?」 「デスク周りは、どうしてこうなっているか、後から分かります。頼みますから、先に進んで下さい」  私の頼みに渋々、続きを読んでくれたのだけれど―― 「この部長、妻帯者のクセに何かにつけて、部下の女性を触りすぎじゃないですか。はたから見たら、明らかにセクハラ行為ですよ」
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