まさやんとレディコミ ~意外な一面番外編~

6/10
73人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
 左手は腰に右手人差し指を立てて、きびきびと左右に振りながら、偉そうにレクチャーしてあげた。妙に頭の切れる正仁さんを前にしたら、こんなことでもない限り優位に立てるシーンはないから。 「そうでしたか。俺は事実を述べたまでだったんですが。これじゃあ他の人に、誤解されてしまいますね」 「分かって戴けて、何よりです……」  ホッとしたのも、束の間―― 「だけどこのふたりは、会社を何だと思っているのでしょう。朝までこんな場所でこんなコトをして。ホテルに行くなり彼女の自宅にしけこむなりした方が、いろんなコトが出来ていいと思いますがね」  いろんなコトって、一体何なの……!? や、あえてそこは突っ込まないほうが身のためだよね。絶対に喜んで、食いついてくれるだろうから。 「しかも主人公の女性の最後の台詞、何ですかコレは。『今度は社長室でお願いします』『まったく。君はワガママだなぁ、リザーブしておくよ』って、どれだけ自由に、会社を使いまくっているのでしょう」  正仁さんのツッコミどころが、正直分からない。たかが30ページを読むだけで、どうして1時間もかかるの?  だけど夜を共にするの意味を、きちんと理解しただけいいと思わなければ。あれを同性に言ってしまったせいで、周りの目がどれだけ冷たくなってしまったかを、正仁さんは知らないんだから。  これ以上、公衆の面前で変なことを口走らないでしょう。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!