10話 私と彼女

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あれから、彼女との関係は、変わらず友達という形で落ち着いている。 彼女も私も、それ以上踏み込んだことをしていない、と言った方が正しいかもしれない。 しかし、それとは別に嬉しかったことがあった。 琴音のことだ。 琴音に、合田くんとの1日を話すと、とても落胆した声を出していたが、これでありがた迷惑の男性紹介はなくなるのだから、よかったと肩の荷が下りた。 放課後になり、私は駐輪場へ向かう。 日差しが強いな、と思う。 すると、後ろからいきなり話しかけられる。 「暑いわね」 振り返ると、そこには彼女がいた。 「そうだね、もう夏だし」 と、返し、こう続ける。 「衣替えっていつだったっけ?」 彼女は、少し考えてから、肩をすくめる。 「いつだったかしら」 私たちは、にこりと笑い合う。 「早くならないかなぁ、もうブレザー着るのがつらい」 などとたわいもない話をする。
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