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そういうと、呆れたように携帯をいじり出した。
なんて言えばよかったと言うのだ。
私も心の中でため息をはく。
図書室は、いつまでも静寂を保っていた。
そして、ゆっくりと目を瞑る。
一瞬、デジャビュかと思った。
肩をたたかれている。
はっとすると、そこにはあかりではなく、彼女がいた。
「起きた?もう時間よ」
と彼女が言った。
「ごめん!」
と、私は立ち上がり、返却本の箱に手を伸ばす。しかし、空を切る。
「やっといたわ」
私は、申し訳ない気持ちが押し寄せてくる。
「ごめん!」
とまた謝る。
何をしているのだ私。
「いいよ、なんか疲れてるみたいだし」
と、言って、彼女はカバンを肩にかけ、踵を返そうとする。
そこで、私は腕を掴んだ。
「なに?」
と、彼女は純粋に驚いた顔をしていた。
「さっきの話なんだけど、けっこう前から聞いてた。これもごめん」
と、また私は謝る。
「別にいいわよ、そんなの」
と、彼女は、気にしてないと、装っているようだった。
そこに、私はまた言葉を落とす。
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