11話 美術室

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11話 美術室

衣替えの通知は、あれから一週間が過ぎた頃にやってきた。 私は、次の日から直ぐさま半袖のワイシャツに袖を通す。 その気持ちは、みんなも同じだったようで、大半が早々に夏服に変えていた。 そんなある日の放課後。 私は、琴音に言われて美術室にいた。 しかし、いるのは私一人で、美術部員より早く来ていることが、何だか恥ずかしくなった。 すると、扉が開く音がする。 そちらに、体を向けると、合田くんが立っていた。 「こんにちは、和島さん」 と、にこりと笑う。 「蘭崎先輩ですか?」 と、合田くんは、こちらに歩きながら、聞いてきた。 「うん、そうだよ、なんか見せたいものがあるって言われて」 と、言うと、合田くんは合点がいったような顔をした。 「なるほど、そういうことでしたか」 合田くんは、なんだかウキウキしているようだった。 「きっと驚くと思いますよ」 私は、にこりと笑う。 すると、合田くんもにこりと笑う。
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