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「ゆい!」
という呼ぶ声と同時に扉の開く音がする。
合田くんと一緒にそちらを向くと、肩を上下に動かす琴音の姿があった。
「なんで、そんなに疲れてるの?」
と、私はとっさに聞いてしまう。
琴音がこちらに歩きながら、口を開く。
「なんか、掃除終わったと思ったら、担任に呼び止められて、こっちが早く帰らせてくださいオーラ出してるのに、全然気づいてくれなくてさー」
と、言ったところで、これは話が長くなりそうだと判断した。
私は、わざと話している最中に口を挟む。
「あー!それは大変だったね!それで、なんか私に用があったんじゃない?」
と、琴音に目で訴える。
すると、はっとした顔をした。
隣で合田くんが楽しそうに見ている。
「そうだった、そうだった。こんな話してる場合じゃなかった」
と、言って、こっちこっちと、手招きされる。
言われるがままついていくと、そこには布がかかったキャンパスが置いてあった。
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