11話 美術室

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「だから、人は描かなかった。 これは、隣にいる誰かを大切に想ってっていうメッセージなんだ」 私は、口角を少し上げる。 「ありがとう、一番に見せてくれて」 琴音は、照れたように笑う。 「こちらこそありがとう」 という返事が返ってくる。 そして、変に琴音がもじもじし出した。 「どうかした?」 と、私はとっさに聞く。 「ゆいにもう一つ報告したいことがあってね」 と、琴音の顔が緩んでいる。 「原谷先輩と付き合うことになったの」 と、言ってから「もうやだー」と、照れ隠しに私の肩を押してくる。 もしかして、こっちの話の方が本命なの?と思うと、笑いがこみ上げてきた。 琴音は、琴音だな、と思った。 「おめでとう」 と、笑いながら言う。 琴音の目が垂れて、にやにやという顔になる。 「なにその顔、少し気持ち悪いよ」 と、冗談で言う。 すると、後ろにいた、合田くんがくすりと笑った。
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