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「私は元々卓球志望だったから、よかったけど」
とにこっと笑う。
「将来の絵描きは、指には繊細だからね」
と、考え深く、眉間に皺を寄せて頷きながら言った。
それが、何ともおもしろくて、小さく吹き出す。
「なにがおかしいの?」
と、ふくれっ面の琴音に言われる。
「ごめん、ツボだったみたい」
と、手を合わせて謝罪する。
すると、いきなり琴音は手を挙げて起立した。
私は何事かと思う。
「琴音はシングルスね」
と、あかりは言って、紙に書く。
「これでシングルスも決まったから、次はダブルスね」
と、続けて言った。
嘘でしょ、と心の中で呟く。
着席した琴音が勝ち誇った顔で、こちらを向く。
「なに?」
と、私は言うと、琴音は「別に~」と、にやりと笑った。
「ここでまだ何も競技入ってない人とかっている?」
と、あかりは言った。
そこで、私はしぶしぶ手を挙げる。
「ゆいと川上さんね」
と、あかりはさらりと言って、私はぎょっとする。
「どうする?リレーに出るかダブルスしかないんだけど?」
と、言われ、走るのは正直自信がない。
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