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彼女は、少し顔を引きつらせながら、笑顔を作っていた。
「う、うん」
と、彼女は言う。
聞きたくなくても、聞こえるか、と私は思った。
その日の放課後。
「ゆい」と、廊下を歩いていると、後ろから呼ばれ、振り返る。
そこには、彼女がいた。
「どうかした?」
と、私は言う。
「えーと、その」
と、彼女が言いづらそうに、口ごもっている。
「大丈夫?」
と、私は、あはは、と笑いながら聞いた。
「だ、大丈夫よ。ちょっと、あなたにお願いがあって」
私は、頭の上にクエスチョンマークが浮かぶ。
「暇な時でいいの。教えてくれない?卓球」
と、呟くように言った。
「ちょっと、待った」
私は、手のひらを彼女に向ける。
「私、そもそも卓球部でもないし、教えるってほどでもないんだけど」
と、私は彼女に言った。
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