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私のクラスにはお姫様がいる。
それはそれは綺麗なお方で、学問に長け、家柄もよく、周りにはいつも男がいた。
でも、それをよく思わない人たちもいた。いいように使われる男や嫉妬にかられる女たちは、ひどく彼女を妬んだ。
男を鼻でかける感じも、女を見下す感じも、癪に触るのだ。
それでも彼女を取り巻く環境は、何も変わらなかった。
外見では体良く合わせ、遠く陰口を言うのが、精一杯の抵抗にも思えた。
しかし、私は気づいてしまった。
彼女の双眸の遠く遠く灯る葛藤や悲しみの火に。
投げかけられる言葉の棘に、どんな意味があったのかを。
私は、彼女に背を向けることはできなかった。
私達は、対だった。
何もかも違いすぎていた。
それでも、
それでも、
私は、その棘の薔薇を取りたいと思った。
私の心が、抉られようとも。
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