御家騒動

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「お父様?」 王を見上げて不思議そうにするライト。 王は、真剣な表情で言った。 「覚えておきなさいライト。私達は、本来王族とは成り得なかった血筋。本来は本物のフリーダム様が王だったはずなのですよ。王印として伝えられて居た神よりの使いの印は現在フリーダム様の手に有り、フリーダム様以外には触る事すら出来ないのです。 分かりますか?私達は、フリーダム様の恩情で今まで通りに王族を名乗っているだけなのです」 ライトは驚いた表情で僕を見た。 僕は、苦笑して手を前に出す。 そこには王印が光を放って居た。 普段は隠しているけど、フリーダムの時は隠すように覆って居る魔法を解除するから、見られるようになってる。 「それが?!王家の紋章を・・・・・つけてる・・・・良いのですか?お父様?!あれは、王家の物では?」 その言葉に、真剣な表情で王は言った。 「ライト。言いましたよ?聞いて居なかったのですか?大事な事です。あの王印には神の意思が宿って居ます。神の決めた方しか身につける事は許されて居ないのです。 それ以外の方が触ればそれは死を意味するのですよ?ライト。侮ってはなりません。 本来は、彼こそが王となるべき方だと言いましたよね?フリーダム様の好意で私達はそのまま王族を名乗って居られるのです。分からないのですか?」 王の言葉に、ライトは顔を歪める。 「僕達は・・・・・王族では無いのですか?民の幸せの為に神に選ばれた血筋で、強い力を行使して魔獣を退けて、人間の国を作る使命を持っているのでは無かったのですか?父上? 僕も、いつか父上のような立派な王になろうと思っているのです! その父上が本当は王ではないなどと・・・・・僕は・・・どうすれば!」 泣きそうな表情で言うライトに、王は優しく言った。 「ライト。今まで通りで良いのですよ。私達は、国を治めるのが役割。その為の王族なのです。王印と呼ばれる神の祝福を受けた一族では有りませんが、それでも世界のために・・・・国民のために・・・・働きたいと言う意思は大事なものです。 私達、一族はその為に居るのですよ?ライト。選ばれたからでも、強いからでも、能力があるからでも無い。唯、国民を守りたいと・・・その意思を貫く為に此処に居るのです。 忘れないでください。決して驕り高ぶってはならないのです。 英雄の再来では?と言われる、フリーダム様が此処に居て力を貸して下さる」
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