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そう言って微笑んで僕を見る王に、僕は困惑する。
まあ、間違っちゃいないけど・・・英雄は此処に居るけど。
言えないけど。
王の言葉に、僕を見てライトが言った。
「貴方がフリーダム様?本物?今まで、僕の側に居たのは偽物?でも、どうして本物と?偽物も同じような指輪を持っていましたよ?なのに何故?父上?」
王は微笑んで言った。
「触れる事は決して叶いません。ですが、良く見てご覧なさい。中央の石を」
王の言葉にじっと僕の指輪の石を見つめるライト。
そして、そこに映し出されるまるで燃える炎のような、煌めき。
揺れて蠢き姿を常に変化させてる。そして、それは美しく見惚れそうになるほどの情景。
「こ、これは?!」
驚いた表情で、王を振り返るライト。
その様子に、誇らしげに頷き王は言った。
「覚えておきなさい。これこそが、本物の証です。この情景を作り出すことは私達の技術では不可能。映る情景は世界で起こってる真実の情景。私達には、はっきりし無い何かにしか見えませんが、持ち主であるフリーダム様には、普通の風景や出来事が見えているのですよ。
この指輪は、居ながらにして世界を把握しています。神の加護が有ると言うのも頷ける事実です。
わかりますか?ライト。私達の技術では到底不可能なのですよ」
ライトは、唖然っとした後言った。
「そ、それは、本当なのですか?お父様。彼が知っている事実を告げているだけ・・・・と言う事はありませんか?」
ライトの言葉に、頷いて王は言った。
「なるほど。良い傾向ですね。私の言う事だからと無闇に信じるのではなく、キチンと状況を見ようとして居ます。感情的に疑っているだけではありませんね?」
王は嬉しそうに言った。
僕は頷いて答える。
「確かに、そう思うかもしれませんが、この指輪の能力は反則技ですし、相当な魔力を持って行かれてしまうのですよ。ですから、簡単には使えませんよ?緊急事態には選択の余地はありませんけどね。兎に角。王様?この屋敷の中で、偽物のフリーダムによって魔道具を取り付けられて操られてしまっていた者達は、全員が広いホールに寝かせて有ります。
道具は全て外し解除してしまって居ますから安心して下さい。後は、お任せ致しますね。
私が出るよりは、王様の方が良いでしょうし・・・・・残念ながら、私は用事の最中だったので、戻らなくてはならないのですよ」
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