Side 宮本茜

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周りが少しずつ賑やかになってきた。 クラスの中は残りの時間を惜しむように、話し声があちこちから聞こえていた。 そんな中に、ある2人の姿を探す。 「いつも通り、時間ギリギリに来るんじゃない?」 私の様子に気付いた春がそう言った。 いつも通り、ここにいない2人の友達の席は空いていた。 「卒業式の日もギリギリってことはないよね?」 「・・ありそうだね。  翔とは一緒に行こうって言ってるけど、朝比奈君は・・。」 そのことに2人して一抹の不安を抱いたのだった。 そして彼らがやってきて、全員揃うのを待っていたかのように、チャイムがなった。 「2人とも遅い!」 「いいじゃないか、間に合ったし。  なぁ、谷藤。」 「いや、俺は早く行こうって言ってたんだけど・・。」 「朝比奈君にわざわざ付き合うからこうなるんだよ、翔。」 いつもの4人が揃ったところで、軽い談笑。 そんな少しだけの談笑を終え、私は教卓に向かった。 「皆揃ったね。  まず最初に、今から配る腕輪を付けてください。  これは皆の状態を把握するためのものみたいです。」 封筒の中に入っていた紙に書いてあったこと。 それは、ダンボールの中入っている腕輪のことだった。 腕輪の用途と、それを付けるようにと書いてあった。 それは赤い玉の付いた腕輪で、数字が書いてあった。 数字の意味はよくわからない。 一応、出席番号に合わせて配っていく。 配られた人は次々と腕輪を付けていく。 全員の腕についたことを確認し終えた私は席に戻ろうとした。
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