Side 宮本茜

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『全員、腕輪を付けましたね?』 それを引き止めるように、放送が流れた。 それは聞いたことのない声だった。 一体、誰の声だろう? いや、誰というのもおかしい感じがする。 どこか機械的な音という方が正しいかな。 そういえば、先生がまだ来ていない。 普段遅れることのない先生で、朝比奈君と谷藤君が来る頃には教室の外にいることが多いのに。 何かがおかしい気がした。 具体的に何がおかしいかまでは分からないけど。 違和感として胸に引っかかった。 そして、その違和感は形として現れた。 『それでは、これよりゲームを始めましょう。』 一瞬の沈黙。 ゲームって、何? 頭の中を駆け巡った疑問。 そして、それは現実へとフィードバックする。 言葉として、教室内を飛び交う。 いきなり意味分かんねえな。 何が始まるんだ? 優勝した人は何かもらえるとか? ちょっとしたサプライズパティーみたいなノリだろうか。 突然だったから少し驚いたけど。 私達は軽い気持ちでゲームを受け入れた。
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