ぬっぺっぽう

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呼び止められて、 振り返るとそこには……妖怪がいた。 いや、ほんとに妖怪なんだって! ぬっぺっぽうって知ってる? ぬっぺふほふが正しいんだっけ? 肉人と呼ばれる、まさにあれ。 ぶよぶよと弛んだ皮膚と肉。 目とか肉に埋もれてどこにあるんだかって感じ。 その妖怪が俺に向かってしゃべるんだよ、 ひさしぶりー、って。 「あ、えっと。……どちら様で?」 「いやねぇ、忘れちゃったの? 高校の時、同じクラスだった、小沢仁美よ」 「は?小沢?」 「確かにちょーっと太っちゃったけど。 わからないほどじゃないでしょ、木村くん。 ほんと、失礼しちゃうわ」 「あ、ああ。悪い……」 ええっ!あやまるの俺、俺ですか!? いや、どうみても あの小沢と同一人物だなんて思えないだろ! クラスの男子どころか、 ほかのクラスの奴だって憧れていた小沢仁美。
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