托卵女子

厳しい上司

「世の中、ドＳがモテはやされる時代だけどさぁ」

美奈が川田さんの背中をさすりながら、憤る。

川田さんはハンカチで目を覆い、一層酷く泣き始めた。

「まだ入社して半月の子を、みんなの前で怒鳴り散らすのは どうかと思うのよ」

ここは女子トイレ。

営業課の女子が上下関係なく七人集まり、一様に〝うん、うん〟と頷いた。

「あいつ、調子に乗ってんじゃないの？いくら営業成績トップで上からも評判良いからって」

「そうですよ！いつも怒ってるみたいだし」

「言い方がキツイですよね」

口々に美奈に賛同する女子社員。

「とにかく、この課では女子を怒らせるとどうなるか教えてやらないとね」

迫力満点で美奈が言い放つ。

「ミ、ミスした私が悪いんですから…すみませんでした、泣いたりして」

川田さんは何故か急に泣き止み、怯えたように美奈に謝った。