10人が本棚に入れています
本棚に追加
「菊野様は亡くなっていたんですか…。」
「そうじゃよ…。若様の後を追うように亡くなってしまっていたんじゃ…。
和尚様だけが気づいていたんじゃよ。菊野様は優しいお方じゃった…なのに姫様の勝手な想いで、若様と菊野様は死んでしまったんじゃよ…。こんな理不尽な事あるかの…。」
おじいさんは、悔しそうに言った…。確かに理不尽な仕打ちだ。さっきから気になるが、いつの時代の話だろう…?
「では、人形に封じ込められた怨念は姫様のものではなく、菊野様のものだったのですか?」
「いいや。それは和尚様だけが知っているという事になるんじゃがな、最初は確かに姫様のものだったんじゃ。
いつから菊野様のものになったのか、もしくは、姫様と菊野様の両方ではないかと噂されるようになってな、それでも、みんな菊野様が大好きじゃったからの。菊野様の為になるならと人形の供養を出来る人を探して、長い間、供養していたんじゃ。」
「今、その人形はどこに在るのかわかりますか?」
「いいや…。行方を探しているんじゃよ。」
最初のコメントを投稿しよう!