第1章

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「菊野様は亡くなっていたんですか…。」 「そうじゃよ…。若様の後を追うように亡くなってしまっていたんじゃ…。 和尚様だけが気づいていたんじゃよ。菊野様は優しいお方じゃった…なのに姫様の勝手な想いで、若様と菊野様は死んでしまったんじゃよ…。こんな理不尽な事あるかの…。」 おじいさんは、悔しそうに言った…。確かに理不尽な仕打ちだ。さっきから気になるが、いつの時代の話だろう…? 「では、人形に封じ込められた怨念は姫様のものではなく、菊野様のものだったのですか?」 「いいや。それは和尚様だけが知っているという事になるんじゃがな、最初は確かに姫様のものだったんじゃ。 いつから菊野様のものになったのか、もしくは、姫様と菊野様の両方ではないかと噂されるようになってな、それでも、みんな菊野様が大好きじゃったからの。菊野様の為になるならと人形の供養を出来る人を探して、長い間、供養していたんじゃ。」 「今、その人形はどこに在るのかわかりますか?」 「いいや…。行方を探しているんじゃよ。」
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